『書くことについて』

スティーブン・キングの『書くことについて』を読んでみた。

米国を代表する作家であるスティーブン・キングが、自身の作家活動を振り返りながら、書くことについて語っている書籍だ。

本書でもっとも印象的なのは、ドアを用いた表現だと思う。

必要なのはただひとつ。外部をシャットアウトするためのドアだ。ドアを閉めるということは、これから仕事をするという、世界と自分自身に対する決意表明でもある。ドアを閉めたら、書くことに真剣に向かいあい、やるべきことはかならずやりとげなければならない。

『書くことについて』より引用

「何かを書くときには、自分にストーリーを語って聞かせればいい。手直しをするときにいちばん大事なのは、余計な言葉をすべて削ることだ」

このとき、グールドはほかにも含蓄のある言葉を口にした──ドアを閉めて書け。ドアをあけて書きなおせ。言いかえるなら、最初は自分ひとりのものだが、次の段階ではそうではなくなるということだ。原稿を書き、完成させたら、あとはそれを読んだり批判したりする者のものになる。運がよければ、批判するより読みたいと思う者のほうが多くなる。これは私の個人的意見だが、ジョン・グールドもきっと賛成してくれると思う。

『書くことについて』より引用

原稿を書くときは、ドアを閉める。校正・編集のときは、ドアを開ける。

そしてドアを閉めるとき、作家は世界から1つの部屋に隔離され、ただただ文章を書き殴る機械のようになる。

部屋の中には、机以外に何も置かない。しかもその机は、部屋の隅に置いておく。ただただ原稿だけを見られるようにする。

校正は非常にシンプルで、無駄なものを削除するだけだ。キングは「副詞に気をつけろ」と言っていた。これは日本語でも同じことが言えるだろう。たしかに、副詞は基本的に必要ない。