アル・ライズとジャック・トラウトの共著『売れるもマーケ 当たるもマーケ』を読んでみた。
本書では、マーケティング22の法則が解説されている。
- 一番手の法則:市場で最初にポジションを取った者が圧倒的に有利になる
- カテゴリーの法則:ナンバーワンが取れないなら、新しいカテゴリーを創って一番になる
- 心の法則:最初に市場に出るよりも、消費者の心の中で最初の位置を確保する方が重要
- 知覚の法則:マーケティングは「製品」ではなく「知覚( perception )」の戦いである
- 集中の法則:市場で一言(単語・イメージ)を自社ブランドと結びつけることが強力な武器になる
- 独占の法則:他社がすでに占めているポジションは奪いにくい。無理に奪うのは得策ではない
- 梯子の法則:市場には順位(梯子)があり、ブランドの位置づけはその梯子のどこにいるかが重要
- 二極分化の法則:長期的に見ると市場は2強体制に収束しやすい(例:コーラならコカ・コーラとペプシ)
- 対立の法則:業界2位以下は1位との差別化を強調すべきで、真似をしてはならない
- 分割の法則:時間が経つにつれ、カテゴリーは細分化され、新たなニッチ市場が生まれる
- 遠近関係の法則:マーケティングの効果は短期よりも長期視点で測るべきで、目先の施策が裏目に出ることもある
- 製品ライン拡張の法則:ライン拡張(バリエーションの増加)はブランド力を弱める危険がある
- 犠牲の法則:何かに集中するためには、他のことを捨てなければならない(ターゲットや製品など)
- 属性の法則:競合が強い属性を持っている場合は、別の属性で勝負するべきである
- 正直の法則:自社の弱点を正直に伝えると、逆に信頼を得ることができる
- 一撃の法則:市場を大きく動かすのは、一度の強烈な一撃(キャンペーン、発表)である
- 予測不能の法則:将来の市場動向や消費者の動きを正確に予測することは困難である
- 成功の法則:成功体験が「傲慢」につながり、誤った判断を生むことがある。慎重さが必要
- 失敗の法則:失敗は不可避であり、それを早く認めて軌道修正することが重要
- パブリシティの法則:ブランド構築の初期段階では広告よりもパブリシティ(報道や口コミ)が有効
- 成長促進の法則:マーケティングは製品やブランドではなくカテゴリー全体の成長に貢献すべき
- 財源の法則:マーケティングにはしっかりした財源(予算)が不可欠である
本書は大企業内のマーケティング担当者に向けて書かれている書籍だが、当然のことながら、起業家や中小企業の経営者にも使える。
とりわけ現代社会は成熟しているので、ほとんどの起業家はニッチ領域を攻めるべきだろう。その点で言えば、本書で紹介された22の法則は非常にタメになるものばかりだ。
また、上記の22の法則以外に僕が印象に残っているフレーズは以下のとおり。
- マーケティング上想定するターゲットは、商品を実際に買う顧客というわけではない。例えばペプシコーラのターゲットはティーンエンジャーだが、その市場には29歳だと思いたい50歳の男性も含まれている。
- 平均的にCEOは週18時間を社外活動に費やしている。次に時間を浪費しているのは社内の会議で週17時間、そうした会議の人美に週6時間を費やしている。一般的なトップ・エクゼクティブの労働時間は週61時間なので、経営管理などの他の仕事に割ける時間は20時間しか残らない。
- 日本人のコンサンサスに基づく経営方式は、エゴが排除される。「悪いのはみんな」の下で生きているため、過ちを犯した時にすぐさま認め、必要な手直しを加え、何食わぬ顔でまたやってくる。
やっぱり最低でも週61時間は働かないとダメっぽい。