『スペクテイター パソコンとヒッピー』

『スペクテイター』の『パソコンとヒッピー』を読んでみた。

『スペクテイター』はエディトリアル・デパートメントが発行するカルチャー雑誌で、様々なテーマを一冊で深く掘り下げる編集が特徴となっている。

そして『パソコンとヒッピー』では、パソコンの歴史をヒッピー・ムーブメントの視点でまとめられている。

ヒッピー・ムーブメントは、言わばカウンターカルチャーなわけだが、当時のコンピュータはもっと大規模で、国や大企業が保有するものだった。しかし「これはおかしい!」と思い立ち上がったのがヒッピーで「権力の分散」のために、個人が所有できるパーソナル・コンピュータの開発に着手する。その際、GPUが開発される際は、ヒッピーたちのLSDの幻想体験が鍵になっているらしく、たしかにAppleのデフォルトの表紙でよく用いられるカラフルなやつは、LSDで見られる幻想がベースになっているのかもしれない。

また、このカウンターカルチャーの流れは、オープンソースのLinuxなどにも繋がっていて、現在のAIムーブメントにも、一種のカウンターカルチャーが見えるときもある。この視点を欠いている状態でコンピュータの文脈を深く理解するのは難しい。

発刊当初は1,100円だった本書も、現在はメルカリで約5,000円で取引されるようになっている。もっと高騰しないうちに、早めの入手をおすすめする。