『アイドル声優の何が悪いのか?』たかみゆきひさ

たかみゆきひさの『アイドル声優の何が悪いのか?』を読んでみた。

たかみゆきひさは、小倉唯、石原夏織、伊藤美来などを輩出した声優事務所・スタイルキューブの創業者である。

そんな著者が、自身の経験を元に声優業界の現況や将来について語っている。

まず声優事務所のビジネスについて、一般的な芸能事務所の取り分は4〜6割ぐらいだが、声優事務所は2割程度が相場らしい。また、声優がテレビアニメに出演する際のギャランティはランク制で決められており、新人声優の場合、1話あたり1.5万円と定められている。そのため、仮に新人声優が週4本のレギュラーをこなしても月に24万円程度で、8割の19.2万円が声優に、2割の4.8万円のみが声優事務所に入ることになる。

また、芸能事務所は芸能人とマネジメント契約を結ぶのに対して、声優事務所は声優とエージェント契約を結ぶ違いがある。マネジメント契約は「雇用」に近い関係性だが、エージェント契約は基本的に声優が主体となって物事を決める。このような業界慣例の違いがあるため、声優は比較的個人主義的というか、それなりに自立できる人でなければ活躍しづらい。

そしてスタイルキューブは「新時代の声優マネジメント」をモットーに2023年4月に体制を変更し、その中の特徴として筆者はA&Rの有無を挙げている。A&Rとはアーティストの 活動の戦略やその他全般を担う職種のことで、簡単に言えば、プロモーションとブランディングを決定づける部署である。

それでタイトルにもある「アイドル声優」だが、声優の演技だけで売上を伸ばすのが難しい以上、アイドルなどのタレント活動まで展開するのは当然のことだと僕も思う。声優の魅力は「声」にあるわけだから、声優としての演技だけでなく歌、トークなどにも活かされるべきだ。流石にダンスはやりすぎな気もしなくはないが、しかし小倉唯を見ていると、まるでフィギュアというか、本物の2.5次元を見ている気になる。そしてこれは、アニメキャラを演じる声優にしかできない極地のようなもので、今後はそういう声優が求められると思う。