ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』を読んだ。訳は河合祥一郎。
おそらく世界で最も有名な童話と言っても過言ではない本作は、当時の童話では当たり前だった「説教めいた要素」を省き、楽しくて遊び心に満ちた作風だったことから、童話の歴史の中で転換点とも言われている。
ヘンテコな不思議の国で、アリスは理不尽な世界と住人に振り回され、そして自分を見失いながらも、少しずつ前に進んでいった。
重要なのは、遊び心だと思う。あとがきによれば、本作は当初、友人にあげるために作られた本だが、案外面白い物語になったということで、大幅に加筆され出品された。だから、別に説教じみたことは書かれておらず、遊びに満ち溢れた言葉遊びと台詞回しで、しかし意図せず、深遠なメッセージ性も感じさせられる。
物語は、こうあるべきだと思った。