アンナ・レンブケの『ドーパミン中毒』を読んでみた。
僕は以前より報酬系の世界から脱したいと考えていて、その一環としてコミュニケーションツールを切り捨てたり、糖質を制限したりしてきた。ということで最近は、報酬系の世界を脱するための知識を得るために、ドーパミンやデジタル・ドラッグに関する書籍を読み込むようにしている。
そこでAmazonのレコメンドで出てきたが『ドーパミン中毒』だ。本書で得た最大の教訓は、ドーパミンはシーソーのようなものだということだ。このシーソーは快楽と苦痛があり、片方を押すと、もう片方が作用する仕組みになっている。だからドーパミンで快楽を追求しようとすると、それと同時に苦痛を伴うことになる。
興味深いのは、逆に苦痛を追求しようとすると、それと同時に快楽を伴うという点だ。具体例としてはサウナや冷水シャワーが挙げられる。
また、ドーパミンの依存性を脱するのに必要な期間の目安は、約4週間とのことだ。大体2週間ほどは苦痛を伴うが、それ以降はとても気が楽になるのだという。
参考までに、本書ラストで記されている「シーソーの教訓」を引用する。
- 快楽のあくなき追求(そして苦痛からの逃避)は苦痛に導く
- 回復はそれを「断つ」ことから始まる
- ドーパミン断ちは、脳の報酬回路をリセットする。おかげでシンプルなものごとに喜びを見出すことができるようになる
- セルフ・バインディングで欲求と摂取の間に文字通り壁を作ることができる。メタ認知できる余地もできる。それがドーパミン過剰の現代には必要である
- 薬でホメオスタシスを回復させることはできるが、苦痛を薬で取り去ることで私たちが失うものを覚えておくこと
- 苦痛の側にシーソーを押すことは、シーソーを快楽の側へリセットする
- 苦痛の依存症にならないように気をつけること
- 徹底的な正直さは自覚をもたらし、親密な関係性を作り、「充分状態のマインドセット」を育む
- 向社会的恥は私たちが人間という種族に属していることを思い出させる
- 世界から逃げ出すのではなく、世界の中に没入することで本当の癒しが見つかる