スタジオジブリでスプリント
最近は「5日間同じ作業に集中する」スプリントという仕事術を取り入れていて、それを遊びにも適用させようと考えた。ということで、2月5日から2月9日の間、僕はスタジオジブリ作品の一気視聴を開始した。Netflix(VPNで海外のサーバーに接続)で配信されているジブリ作品を全て視聴し、その感想を、別名義で運営しているブログに投稿するというものである。
僕は見たいアニメ・映画がたくさんあるし、読みたい本もたくさんあるから「インプットに関してもスプリントを適用させた方がいい」という結論に達したのである。実際、スプリントの効果は、個人的にかなり大きいと感じる。頭の中が、本当にオタク的になってきた。それに、迷いがないから、躊躇いもなく行動できるのがスプリントの強みである。
ちなみに、海外のNetflixでもスタジオジブリ作品は一部配信されておらず(火垂るの墓など)、これらの作品は、Blu-rayをレンタルするしかない。せっかくジブリ作品を視聴するなら、やはりHD以上の画質で視聴するのが望ましく、そうなるとBlu-rayかNetflix(ダウンロード推奨)のどちらかで視聴した方がいい。
電波ソングとLo-Fi
僕がこの5日間で、ジブリ作品を大量に視聴し、最も印象に残ったのが『海がきこえる』である。おそらく『海がきこえる』は、ジブリ作品の中で最もマイナーだと思うけれど、作品の内容自体は、極めて大衆的であり、10代後半から20代前半の人だったら確実に楽しめる作品に仕上がっている。
『海がきこえる』で感じたことは色々あるけれど、特に印象的だったのが音楽だ。
思えば近年のJ-POPは、2000年代後半からオタク界隈で注目を集めるようになった電波ソングやボカロソングの要素を、ポップスとミックスさせているのが目立つ。その典型例がYOASOBIや米津玄師だ。
電波ソングやボカロソングは、コンピュータやアプリケーションの進化をフル活用し、とにかく刺激的なメロディーになっているのが特徴だ。テンポも非常に速く、リスナーの脳をどんどん刺激していく。結果、リスナーは電波ソングやボカロソングにハマるようになり、何度も聴き込むようになる。
しかしその一方で、世界的にはLo-Fiを始めとしたアンビエントミュージックが注目を集めるようになっている。Lo-Fiは、進化し過ぎているコンピュータサウンドに対するカウンターカルチャーとして、非常におもしろいカルチャーになりつつある。そしてその背景には、80年代から90年代の、日本のアニメカルチャーが密接に関係しているとされている。たしかにLo-FIの曲調と、80年代90年代の日本のアニメは「ノスタルジック」という点で雰囲気に共通点が見られる。YouTubeの「Lo-Fiセットリスト」でも『耳をすませば』や『海がきこえる』の映像が挿入されていたりする。
つまり、極端な見方をすれば、アニソンは現代音楽において2つのムーブメントを作り出している。1つは、リスナーの脳を強く刺激する電波ソング的なポップス。もう1つは、リスナーの脳をリラックスさせるゆるやかなアンビエントミュージックだ。そして個人的に、前者よりも後者の方が”健康”だと感じる。そう。音楽には”身体に良い音楽”と”身体に悪い音楽”があるのだ(と僕は考える)。
そして『海がきこえる』の劇伴は、それはそれは素晴らしいものだった。ヒップホップではないのでLo-Fiではないけれど、1周回って現代的な素晴らしいアンビエントミュージックに仕上がっている。ジブリ作品といえば久石譲だけれど、個人的には『海がきこえる』の劇伴の方が好きだなぁと感じた。