『週4時間だけ働く』

ティム・フェリスの『週4時間だけ働く』を読んでみた。

本書では、時間もお金もある生き方であるニューリッチ(NR)を目指すための方法が語られている。

多くの人が考えているリッチは、年収や資産の多さのことを表している。例えば、きっと年収は多ければ多い方がいいと考えているのだろうし、資産も多ければ多い方がいいのだと考えていることだろう。しかし、これは100%正解ではない。仮に年収1億円稼いでいても、1日16時間も働いているのであれば、それは高確率でリッチとは言えないのである。このようにお金があるけど時間がないリッチのことを、本書ではプアリッチと呼んでいる。

重要なのは、お金をたくさん稼ぐことではなく、いかに短時間の労働でそれなりのお金を稼ぐかである。現代は1日2時間労働でも年収1,000万円を超えられる時代だ。だから多くの人が考えるべきなのは、年収よりも、むしろ時給なのだが、残念ながらお金をもらう立場にあるサラリーマンや会社員が、この考え方を取り入れるのは難しい。逆に、僕は良くも悪くも新卒でフリーランスをやらせてもらっているので、嫌でも”時給重視”の考え方になっている。例えば僕の2023年の年収は、このままのペースで行くと約250万円から約300万円で、これは社会人2年目の会社員の年収と大体同じぐらいなのだが、決定的に、労働時間が違う。おそらく会社員は月に160時間以上は働いているが、僕の実働時間は月に40時間もない。

さて、本書では「DEAL」という概念が紹介されている。

  • Definition(定義)
  • Elimination(捨てる)
  • Automation(自動化)
  • Liberation(解放)

定義(D)は、ニューリッチの定義のことだ。一体どのような生活を送ることが自分にとってのニューリッチなのかを定義し、そのために必要な収入を算出する。実際にやってみると、意外に必要な収入が多くない。僕の場合、月50万円から60万円あれば、やりたいことがやれることがわかった。ノーベル経済学賞を受賞したアンガス・ディートン教授が年収7.5万ドルを超えるとそれ以降は幸福度が高まらない相関関係を発見したが、たしかにこれはその通りかもしれない。インフレ率を考慮しても、多くの人は年収700万円から年収1,300万円もあれば、十分に幸せに生きていける。ただし、労働時間が限りなく短いことが条件だが。

捨てる(E)は、余計な仕事やタスクを削除することだ。例えば、チャットを制限したり、メールを制限したり、たいしたお金にならない顧客を切り捨てたり。個人的に、これは以前より実践していて、たしかに多くの時間を生み出すことができた。特に近年は、民度が非常に重要になっていると思う。フォロワーの人数よりもフォロワーの質を追求すべき時代だ。

自動化(A)は、自分が抱えているタスクを自動化させてしまうことだ。自動化の方法は主にITの活用と外注にあるが、これは僕が最も苦手な項目である。でも、これを実践しないことには、短時間で高収入を生み出すことなどできない。ひとまず、経理作業などのバックオフィス業務から外注してみようと思う。

解放(L)は、場所の制約からの解放だ。つまり、どこでも生きていけるようにするということ。あいにく、僕は基本的にコンピュータだけで仕事が完結することが多いので、場所の制約からの解放は、大体完了している。ただし、この範囲を広げることができていないので、今後は1ヶ月単位で海外に滞在してみようと思う。まずは東南アジアから。

本書で僕が最も印象的だったのは、仮に自由になれたとして、それで何が得られるのかという問題だ。実際、たくさんの時間を手に入れてしまうと、暇になりすぎて、充実した生活を送れなくなる。

その中で本書は1つの答えを出していた。自分自身のライフスタイルに満足する方法は「絶え間ない学習と奉仕」であるということ。常に学び続けて自分を高め、そして周囲の人や社会に奉仕する。これが自分の人生に生きがいをもたらすのだ。だから、結局のところ、自由なライフスタイルを心から楽しんでいけるのは、絶え間ない学習と奉仕ができる人なわけで、そのためにはそれなりにストイックにならなければならない。

また、僕が1つ付け加えるとするなら「絶え間ない学習と奉仕」を両立させる唯一の方法が「創造」だということだ。何かを作るスキルを高め、そして実際に作ったものを、周囲の人や社会にプレゼントする。僕は、これにたくさんの時間を使いたい。

だから、まずは月50万円から60万円稼ぐのが目標ということになるのだけれど、実のところ、もうすでに僕は創造に時間を充てることができているのである。というわけで、別に今すぐお金を稼ぐ必要はないかなと思う。それよりも時間だ! お金は後から取り戻せるけど、時間を後から取り戻すことはできないのである!